都市基盤整備事業推進大会

平成21年度 都市基盤整備事業推進大会

意見発表

埼玉県本庄市長 吉田 信解

ただいま、ご紹介頂きました、埼玉県本庄市長の吉田でございます。

本日は、都市基盤整備事業推進大会におきまして、このような意見発表の機会を頂きましたことにつきまして、深く感謝申し上げます。

はじめに、本庄市の紹介をさせて頂きます。本庄市は東京から80km、埼玉県の北西部に位置し、北を流れる利根川を挟んで群馬県伊勢崎市に隣接している、人口8万2千人の都市であります。

平成18年に旧本庄市と旧児玉町が合併したことにより、地勢は概ね平坦ですが、北は利根川、南には500m級の山々が連なり秩父郡長瀞町と接しております。多様性に富んだ地勢となっておるところでございます。

本庄市の歴史でございますけれども、古くは武蔵七党最大の勢力を誇った児玉党の本拠地であり、鎌倉街道も通っております。

その後、この地が「本庄」と呼ばれるようになったのは、室町時代でございまして、江戸時代に入ると、中山道が整備され中山道最大の宿場町となり、明治時代には日本鉄道「本庄駅」現在の高崎線本庄駅でございますけれども、開業となりまして、繭の一大集積地として発展し、「日本一の繭のまち」と呼ばれるまでになった歴史をもっております。この写真にあります山車、これは当時の栄華を今に伝える貴重な文化財でございます。

本庄市は、このように時代時代において、交通の要衝として栄えてきた歴史があり、現在も、JR高崎線や八高線、国道17号や254号、462号のネットワークに加え、高速道路や新幹線のネットワークも整備されており、現在、本庄早稲田駅というのがございます。北関東の玄関口、扇の要のような位置にありまして、現代の交通の要衝の機能をもった地域であると言ってよいと思います。

また郷土の偉人としては、ヘレンケラー氏も人生の目標とされていた、群書類従をまとめられた盲目の国学者である塙保己一先生も本庄市の出身でございまして、渋沢栄一先生、荻野吟子先生と埼玉県の3偉人の筆頭として称されております。

本庄市においては、現在、中山道を中心として形成されたJR高崎線本庄駅周辺の市街地、鎌倉街道の流れをくむJR八高線児玉駅を中心とした市街地、そして、これからお話いたします、上越新幹線の本庄早稲田駅を中心とした3つの核を中心として、まちづくりを推進しています。

現在の本庄市、周辺の美里町、神川町、上里町の1市3町は、平成5年3月に地方拠点法により、「本庄地方拠点都市地域」として指定され、平成7年3月に環境など新たな産業や都市機能を集積するとともに、豊かな自然環境を活かした特色ある地域づくりを推進し、「職、住、遊、学」の機能を備えた魅力ある拠点都市地域の形成を図ることを目指した基本計画が承認されております。

このような取り組みも相まって、平成16年3月にJR上越新幹線本庄早稲田駅の開業にこぎつけ、今年が開業5周年となっております。開業以降、順調に乗降客も増えており、北関東の扇の要としての機能を遺憾なく発揮する準備は整ってきているところであります。

さて、本日の本題でございます「本庄早稲田の杜づくり」でございますが、これは、この本庄早稲田駅を中心とした地域の総称であります。

このスライドをご覧になって頂いて、おわかり頂けるように、本庄早稲田駅を中心とするエリアは、美しい田園風景と、豊かな森林の残る早稲田大学の本庄キャンパスのある里山など、自然環境に大変恵まれた地域であります。

一方で、この本庄早稲田駅を中心とするエリアには、既に早稲田大学を核とした早稲田リサーチパークを誘致し、その形成がなされており、コミュニケーションセンターやインキュベーションオンキャンパス本庄早稲田、芸術科学センターなどの知の創造、成長を支える先導的な機能を担う施設が立地しております。

現在は、北側の本庄早稲田駅を含む約65ヘクタールにおいて、UR、都市再生機構が施行者として平成18年度から平成25年度を目標として土地区画整理事業を行って頂いているところであります。

ご覧頂いているように、この本庄早稲田駅周辺の土地区画整理事業は、いわゆる「新市街地系」の開発事業であります。現に、URのこの種の事業では、最後の事業認可地区であると言われております。

しかし、私は、この開発を拡大基調にあった都市政策の最後の落とし子として捉えるのではなく、地方都市からの挑戦の第一歩として位置づけたいと考えております。

私は、少子化・高齢化の時代に対して、これを地方都市からの挑戦として、人口減少を是としない、今後の社会保障のことを考えますと、人口をいかに減らさないか、いかに増やせるか、そして財政力を備えた自立する持続可能なまちづくりを行っていきたい、挑戦して行かなければならないと考えております。

今後とも環境と調和して、尚且つ産業集積を行い、財政力を豊にして自立した所謂、持続可能な街づくりを、その挑戦を地方都市からも行っていきたい、その挑戦を行っていかなければならないと考えております。

この目標に向けて、本庄市においては、現在、JR上越新幹線本庄早稲田駅、早稲田リサーチパーク、そして現在開発している本庄早稲田駅周辺土地区画整理事業を中心とした当該エリアを、本庄早稲田の杜と位置づけ、交通の要衝として栄えてきた本庄市の歴史の中において、この地を本庄市の次の世代を担う地域として孫子の代に引き継いでいける開発をしていきたいと考えております。

本庄早稲田の杜づくりのコンセプトとしては、3つございまして、一つは、次の時代を担う本庄の新たな顔としての街づくり、二つ目は、この豊かな自然環境との調和、三つ目は、障害を乗り越え偉業を成し遂げた塙保己一先生の誕生の地として「いつでもだれでも」をキーワードとしたユニバーサルデザイン、この3つを掲げ、市民、民間事業者、行政が一体となったまちづくりを進めておるところでございます。

現在、土地区画整理事業では、駅前広場や幹線街路、公園等の基盤整備を図り、交通結節機能の強化や良好な住宅地の形成を図るとともに、希望する地権者の共同組織による大規模商業施設の誘致が進んでおり、本庄市においても埼玉県と協力し、南側の早稲田リサーチパークの研究・開発・交流の拠点機能を強化するための企業誘致を積極的に進めているところです。

現下、地方行政を取り巻きます環境は、依然として厳しく、特に様々な分野での財源確保が大きな課題でございます。

本庄市においても、本庄からの挑戦として、人口減少を是としないまちづくりを如何に進めていけるかを模索し続けていかなければならないと考えております。

また、この場では発表いたしませんでしたけれども、先ほど山車のお祭りのスライドも出させていただきましたが、伝統的な古からの暮らしが息づいている所謂、中心市街地の活性化も、これも本市にとっては大きな課題でございます。

このような課題に取り組む上で、都市基盤は必要不可欠なものであり、これを整備する手法である土地区画整理事業をはじめとする市街地整備手法は、今後も欠くことのできない必要な事業であります。

今後も地方における都市基盤整備事業が円滑に推進されますよう、本日、会場に、ご参集の皆様方の引き続きのご支援、ご協力を心からお願い申し上げまして、本庄市長としての意見発表とさせて頂きます。

御清聴、ありがとうございました。

吉田信解 本庄市長による意見発表

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