都市基盤整備事業推進大会

平成24年度 都市基盤整備事業推進大会

意見発表

全国街路事業促進協議会代表

東京都足立区 近藤やよい区長

東京都足立区長の近藤でございます。
本日の推進大会にあたりまして、私どもの事業でございます東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近の立体交差事業につきまして、ご紹介をさせて頂くと同時に、意見発表をさせて頂く機会を与えて頂きましたことを大変名誉に思っております。

大変偶然のことでございますけれども、本日発表させて頂きます私どもの高架事業、昨日起工式を開催することができました。起工になりましても、これから少なくても10年はかかるという難工事でございますので、改めて安全第一に、そして一日も早い工事完成へということで、担当者一同気持ちを新たにしたところでございます。

私どもの足立区は東京都23区の中の北東部に位置しておりまして、埼玉と接しております。その中でも今回事業の対象となっております竹ノ塚という駅はまさに足立区の北の玄関口という位置付けでございます。今回事業を行いますのは、総延長1.7kmのところ、高架させて頂くのが1.5kmということでございます。これは1.5kmを高架化することによりまして、区道に接しております二つの踏切を解消し、竹ノ塚駅付近の鉄道を高架化させて頂きます。御多分に漏れず、この二つの踏切はピーク時には1時間のうち57分が遮断されたままという、いわゆる開かずの踏切でございます。

工事でございます。これは駅舎の部分の断面図になっておりますけれども、複々線化されております四線と始発駅の引上線の二線、つまり合計で六線を高架にいたします。一番幅の広いところで約40mを高架にしなければならないということで、技術的にも難工事であると聞いております。そしてまた、事業費をなるべく圧縮するため、または周辺の区民のみなさまのご迷惑を考えまして、用地買収を極力抑えて、周辺の沿線に二件だけ買収させて頂いておりますので、工事自体非常に限られたスペースで行わなければならないという規制もございます。また、一日に約1000本の上下線の列車が行き交う駅でございますので、工事ができる時間帯も終電から始発までの正味三時間という時間帯でございます。限られたスペース、限られた時間の工事ということになりますので、先ほどご紹介申し上げたように、始まっても約10年はかかるという工事ということでございます。

これが工事概要でございますけれども、次に今日の起工式に至るまでの経緯につきまして、少々ご説明をさせて頂きたいと思います。専門家のお話を聞きますと、私どもが立体交差事業を立ち上げると言ってから起工式までが7年7ヶ月ということでございますので、この類の事業からすれば異例のスピードだということでございますけれども、それはあくまでも結果論でございまして、この竹ノ塚駅の立体交差にかかる様々な課題を一つ一つ解決しての今日でございます。
まず最初に、平成16年に東京都で、鉄道の立体化、都内にございます開かずの踏切対策ということで方針を立てられました。その中には都内にございます20箇所の事業区間について計画的に立体交差をしていくという計画でございました。私どもの竹ノ塚の駅のこの20箇所の一つにはリストアップをされましたけれども、都内の優先順位からしますと、本当に低い優先順位でございましたので、リストアップをされたといっても、このままいけば半世紀経っても立体化は実現しないだろうという、あきらめムードが当時私どもにあったことも事実でございます。
ところが、翌年の平成17年の3月にお二人の方が犠牲になられるという大きな事故がございました。これが、今日の竹ノ塚駅の立体交差事業について大きなはずみになったショッキングな事故でございました。これは大きく取り上げられ、踏切係の方のミスによる人為的な事故ということでございました。ただ、この二人が亡くなったということで東京都レベルでは優先順位が低いこの事業ではございますけれども、一日も早い立体交差を実現しなければ、また第二第三の犠牲者がでるということのなかで、当時、地元の皆様、そして区議会、そして私どものなかで推進協議会を立ち上げまして、様々な方面に向けての要請活動が始まったわけでございます。
まず、竹ノ塚駅の立体交差につきましては、大きな越えなければならない課題が二つございました。まず一つは、基本的には都内の立体交差事業は都の施行で行うわけでございますけれども、その際、都施行の事業として採択をして頂くためには、その事業区間が二つ以上の幹線道路と交差していなければならないという要件が入ってございました。この竹ノ塚は区道2線と都市計画道路1線(※幹線道路としては都市計画道路1線だけ)とのみ交差をしているということで、まずこの採択基準にあたらないということがございました。そしてもう一つは、当時は今回の事業が区施行で初めて行う連続立体交差事業でございますけれども、当時はこうした鉄道の立体交差事業は都の施行ということだけが許されておりまして、たとえ区が事業を行いたくても23区、特別区として事業が行えないという要綱がございましたので、まず区が施行者として事業ができるというように要綱を改正する必要があったことが、一点と。そしてもう一つ、先ほど申し上げました、幹線道路と二本以上交差していなくても開かずの踏切、非常に歩行者の妨げとなる状況である踏切であれば事業採択されるという基準の緩和をして頂いたと、こういうことが大きく今回の起工に結びついた二つのポイントでございます。

ここに纏めさせて頂きました制度面の課題でございますけれども、まず施行者の拡大を図って頂いた、要綱の拡大をして頂いたということと採択基準の緩和ということで、歩行者のボトルネックの踏切である場合には、立体交差事業の対象となるというように緩和をして頂いたわけでございます。もう一つ、技術面の課題がございます。これだけ大きな幅40mにわたって、1.5kmを上げていくという立体交差事業でございますので、そうしたノウハウは区にはございません。都、そして国の技術面の指導も欠かせないということもございましたし、当然のことながら、資金面での支援もなくてはならない重要な課題となっております。
そこで勿論、区の施行で事業を進めていくにあたっては、東京都、国に対しまして、ご理解を頂くことは当然でございますけれども、区施行でというように決意をしたからには区独自で資金を調達しなければならないだろうということで資金をやりくりさせて頂きまして、115億円ほど基金を積ませて頂いて、区施行で事業をなんとしても進めていくんだという決意を内外に示させて頂いたわけでございます。
ということで、おかげさまで、平成23年には都内初の区施行の事業として都市計画決定を頂きまして、事業認可、そして昨日の工事着手ということになったわけでございます。区独自の事業、区施行の初めての事業でございますので、国ですとか東京都との事業負担の割合というもののスキームが全くございませんでした。今回様々にご協力を頂きまして、こうした区と都の持分、そして区との持分割合というものを決めさせて頂きまして、いよいよ事業の実現までこぎつけたわけでございます。

ただ私ども、申し上げていることはただ単に立体交差、踏切を解消するということが最終目的ではないということでございます。区の北の玄関口にふさわしい顔ということでございますので、東西にございます今非常に狭い駅前広場を拡張させて頂くと同時に、駅前広場に繋がる道路、区画街路14号線の整備ですとか、北側の補助261号線、都道の整備も合わせて、この竹ノ塚駅周辺の賑わいを確保して区の更なる発展のために資するようなまちづくりの視点から私どもの立体交差事業を考えております。

と申しましても、ご承知のとおり、立体交差事業、総工費が平均的にかかっていくのではなく、今年度が5億円程度の事業費に比べまして、ピーク時には約七倍の年間にして35億円ほどの国費が工事の最終局面まで毎年毎年かかってくるわけでございますので、工事に鍬が入ったといっても安心はできません。これから何年、平均してこれだけの事業費を確保していかなければ、工事が計画的に進んでいかないという状況にございますので、こうした推進大会等を活用させて頂いて、皆様方と一緒に都や国にきちっとこの事業の必要性というものを要請していくということの機会を与えて頂いたことを大変ありがたく思っています。

終わってみれば、7年7ヶ月という最小の期間でここまでこぎつけられたわけでございますが、これは結果論でございまして、政権が様々に交代するなかで、先の見えない補助金の制度のなかで、東京都の皆様方にご理解を頂き、そしてまた、国土交通省の皆様方にも事業の優位性というものを非常にご評価頂いての今日かと思います。これも繰り返しになりますけれども皆様方とともに様々な機会を捉えてそういった方々に私どもの立場を要請した一つの成果だと思っております。なかなか、一気呵成に成果がでるわけではないだけに、こうした要請活動を軽んじられる向きがあるように、きらいを感じるときがございますけれども、やはり終わってみると粘り強い毎年のきちっとした要請活動こそが遠回りのようにみえても、こうした大きな事業推進への近道だなと改めて感じておりますので、これからもこうした促進大会をはじめ、一つ一つ機会を捉えて、皆様方と共に、それぞれの自治体の実情を都ですとか国の方にきちっと要請して参りたいと思います。先ほど開会の辞でも申し上げましたとおり、気持ちを一つにしていくということ、それが何よりも突破力に繋がると信じておりますので、是非今後とも皆様方と一致団結した活動を執って参りたいと思います。
ありがとうございました。

近藤やよい 足立区長による意見発表

全国土地区画整理事業推進協議会代表

奈良県生駒市長 山下 真

奈良県生駒市長の山下真と申します。本日は本市の再開発事業といたしましてこのような発表の機会を与えていただきましたことを心より御礼申し上げます。

まず、奈良県生駒市の位置でございますが奈良県の北西部に位置し大阪府の東、京都府の南に位置しております。大阪市内へ電車で20分程度という非常に交通の利便性の高い住宅都市として発展をいたしました。

本市は、交通の利便性と、一方では生駒山という山が大阪との境にございまして、大変緑が残っているという自然環境の豊かなところでございます。交通の利便性と環境の良さを両方兼ね備えたベットタウンとして昭和30年代後半から人口が増加しはじめまして、現在の人口は約12万1千人でございます。現在もわずかながら人口が増加しております。

本市は伝統と最先端が並存する街でございます。伝統というのは室町時代から伝えられる技法を用いた茶筅づくりが盛んでございます。「高山茶筅」というブランド名で伝統工芸品の指定をされておりまして、全国のシェアの9割を占めております。
また、最先端と申しますのは、関西文化学術研究都市「高山地区」が本市に位置しております。
その高山地区第一工区には国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学という全国に3つしかない大学院だけの大学がございます。ノーベル生理学・医学賞を受賞された山中教授が京大に移られる前に助教授としてここで研究をしておられまして、ノーベル賞の受賞に繋がったIPS細胞の基礎を研究された所でございます。
本市の住宅としての評価は各誌マスコミ等でも取り上げられておりまして、本年7月に東洋経済新報社が出しました全国の都市の住みよさランキングでも全国23位、関西第3位と高い評価をいただいたところでございまして、生駒市が目標としております「関西一魅力的な住宅都市」の実現に向けて着実に歩みを進めております。

リニア中央新幹線は今、東京~名古屋間で環境アセスメントの手続きが進んでおりますけれども、名古屋から大阪間につきましては2045年の開業が見込まれております。ターミナルの大阪の1つ手前の奈良市付近に1つ駅を造るということになっておりまして、生駒市は関西文化学術研究都市高山地区の第二工区、先程の奈良先端科学技術大学院大学の北側にリニア中央新幹線の奈良駅を誘致すべく運動をしております。
高山地区第二工区は以前ニュータウンの計画がありましたが、中止になりまして288haの未利用地が現在も残っており、ここにリニアの駅を持ってくるとともに、首都圏の直下型地震に備えた首都機能の分散ということで、副首都の機能をどこかに持たせるべきではないかと取沙汰されておりますけれども、副首都の候補地としても十分価値があるのではないかということで、売込みをさせていただいているところです。
名古屋~大阪間をほぼ直線上に位置していることから、総工費や主要時間の点でもアドバンテージがあるというふうに考えております。

今日のメインテーマである市街地の再開発についてでございますが、大阪のベットタウンとして人口が急増した街でございまして、現在、近鉄生駒駅は、4本の鉄道路線とケーブルが入り込んでいる大変重要な交通結節点となっております。
近鉄生駒駅をはさんで南口と北口の赤い枠内が市街地再開発の地区でございます。奈良県初の市街地再開発事業として、生駒駅南口周辺の整備が昭和58年に完了しております。その後、昭和62年に北口事業に着手しております。
北口地区は面積が広いので4つの地区に分けまして、既に第一地区と第四地区が完了し、現在は第二地区を整備中でございます。

第一地区は平成9年に完了しております。近鉄百貨店を核とした大型商業施設、左側に見えますのが共同住宅、マンションでございます。この二つがメインの建物でございます。公共施設として駅前交通広場、地下駐車場、歩行者専用デッキなどを整備いたしました。これは生駒市が事業主体となりまして総事業費は320億円となっております。

これは平成17年に完成した第四地区でございます。商業棟や住宅棟など7つの施設建設物を整備いたしました。こちらは組合施行で実施しており、総事業費は約28億円で収まっております。建物といたしましては銀行1棟、立体駐車場1棟、スポーツ施設1棟、事務所1棟、店舗付きの住宅が3棟、合計7棟となっております。壁面の位置をそろえ、建物の色調を合わせた良好な景観を創出しております。

こちらが現在整備中の北口第二地区でございます。これはバブル経済の崩壊に伴いまして、事業計画が変遷いたしました。平成7年にホテルや大型商業施設を誘致する計画を作成しました。総事業費が193億円だったのですけれども、景気低迷により事業に参画する企業がなく事業化には至りませんでした。そこで、市民ホールを核とした行政主体の再開発事業計画を立てましたが、施設の必要性や本市の財政状況を考慮し、計画を見直しました。その時の総事業費は209億円でございました。
それから現在の計画になっておりまして、少子高齢化、人口減少時代に合致したものでなければならないということで、事業採算性が高いものとしては駅前の立地を活かしたマンションであろうということで、共同住宅を中心としたコンパクトで事業採算性の高い計画にいたしまして総事業費は71億円に抑えております。
具体的な中味でございますが、両側にマンションを1棟ずつ、真ん中に施設棟を1棟つくりまして、施設棟には商業、公共公益施設、立体駐車場を入れております。
特徴といたしましては、近鉄生駒駅から歩行者デッキで雨に濡れずに来られる場所にございますので、ここに約1千㎡の歩行者のための駅前広場を造っております。環境や景観に配慮いたしまして、屋上や壁面の緑化、LED照明や太陽光パネルを採用しております。公益施設といたしましては、読書カフェコーナーや読書テラスを設けた従来の図書館のイメージにはない新しいタイプの図書室の整備を計画しており、平成25年の12月竣工を目指しています。
バブル崩壊後の再開発事業でございまして、事業採算性の確保ということが一番大きな課題でございましたし、事業採算性の確保のためにあまり税金を使うということは市民感情が許さないという事情がございましたので、今回の計画に当たりましては民間の力をかなりお借りいたしました。
特定業務代行制度を活用して民間事業各社のノウハウや資金の提供を受けたり、その特定業務代行者に保留床の残った場合の最終的な責任を負っていただくというスキームを作りました。
また、参加組合員制度を活用し、マンションの床を売るということでこの辺に強いマンション事業者に参加組合員になっていただきまして、保留床の早期お引き受けをしていただき、土地代金相当額を工事着手前に払い込んでいたことにより、借入金の負担を軽減することができました。組合施行でございますので、このように民間の力をお借りしまして一般地権者の負担を軽減し、迅速かつ確実な事業実施と事業リスクの軽減を図ったところでございます。

言うまでもなく市街地再開発事業は、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用に資するものでございまして、現在、大地震が想定されている中、防災の面からも非常に重要な意義がある事業であります。
一方、自治体の財政状況が厳しくなる中、事業採算性の確保が見込めないとなかなか納税者の理解は得られない状況にございます。
そうした中、今回の事業が実施できましたのも国交省をはじめ、県のご理解をいただき補助金を付けていただいたことで事業の採算性が確保でき、事業実施することができたわけであります。
都市基盤整備事業に対しまして、本日ご参集の皆様方のより一層のご支援と引き続きの御協力をお願いいたしまして、私の意見発表とさせていただきます。ありがとうございました。

山下真 生駒市長による意見発表

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